文化都市パリたるゆえんである。
またM開発の失敗について様々な議論が起こり、糧にして80年代の成功に結びついたという。
もっとも、60年代の東京には思い入れがあるようだ。
当時、しばしば上京し、Y尾忠則やK俣史朗と一緒に、T十郎の状況劇場やT山修司の天井桟敷の芝居を見にいったと回顧している。
また新宿のヒッピーのたまり場にもよく出かけたらしい.T下建三の国立代々木競技場には感動したという。
A藤は、F・R・Rの傑作、帝国ホテルが65年に解体されたことに触れて、驚きあきられるようなエネルギーを感じたと述懐する。
次のように、東京を分析していた。
「第二次世界大戦で焦土となり、物理的な記憶を分断された東京は、先の見えぬ不連続な都市になってしまったのだ。
それでもひとりひとりの人間のなかに植え付けられた歴史や伝統といったものは簡単に消え去るはずもなく、いまだに人々の思いの中で引きずられている。過去から未来へと続く人々の思いと、分断され、あらゆる方向へ増殖する都市の現実がある」
ここに大都市東京の矛盾がある。
A藤は、都市をつくるまつりごとなのに、政治がなく、経済だけの祭りにしてしまったのがダメだと語る。
政治家は思いつきばかりで、思い入れがない。
表面的にしか文化をいいと感じない。
環境や教育の問題でもある。
情報メディアの進化と元離が進み、東京がアンバランスになっている。
経済のシミュレーションが突出した東京のプロジェクトでは、建築家の本領が発揮できない。
パッケージのデザインに終わるからだ。
したがって、むしろ地方の小規模な仕事だと、建築をやっているというやりがいを実感できるという。
おそらくその施設を使う人の顔が見え、建築の理念も貫くことができるからだ。
東京一極集中の弊害も指摘している。
大型の開発により、都内に空きビルがいっぱいできるだけではなく、横浜や幕張のオフィスビルが不要になる事態を招くかもしれないという。
そこで無計画に容積率をあげるよりも、3層くらいまではパブリックな空間とし、分断されている都市を縫合するのはどうか。
あるいは、ビルの屋上緑化を進め、これらの空中庭園を積極的にネットワーク化してみる。
またお台場、皇居、明治神宮、隅田川などにある公共空間をつなぐ仕かけはどうか。
むろん、こうした大胆な提案を実現するには、制度の壁をのりこえなければならない。
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